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拷問の遺物
男が、私のオフィスのドアの前に立って、私を待っていた。
彼は背が高く、上等なスリーピースのスーツを着た、身なりのよい人だったが、
明らかに、不快そうだった。

私は、彼に、私との面会の約束を取っていたかどうか尋ねると、彼は
「いいえ。でも、あなたが、もし、少しお時間があるのなら・・・。」
と返答した。

彼は、あついラテン系の訛りがあり、
彼が、素早く、辺りをうかがっている様を見るごとに、
私は、あたり一面に、凄まじいほどの痛みを感じることが出来た。

私の次のセッションまでに、一時間ほど、時間があり、
私は、彼に、何を欲しているのか、尋ねた。

「わ・・・わたしは、あなたがご覧の通り、おそろしいまでの神経症なのです。
そして、私はあなたのクライエントのうちの一人から、
あなたが、恐れを取り除くことが出来る人だとお聞きしました。
そして・・・」
彼は、泣くのをこらえている人がする、長くて深い、ため息のような呼吸をした。
「・・・そして、罪悪感も。それは本当ですか?」

彼は、さっと私を見たが、その瞳は、懇願していた。
私は、彼に、
「一緒にやってみましょう。そして、様子を見てみましょう。
しかし、あなたが、恐れや罪悪感を取り除くためには、
自分の感情に、素直にならなければいけません。・・・」
と告げた。
すると、彼は笑ったのだった。しかし、それは絶望のような響きだった。

私は、彼が、莫大な緊張を抱えているのが見えた。

私は、彼に、私がボディワーク(マッサージ)をする時に使っている、
Tシャツと、木綿の短パンを渡し、それに着替えて、
マッサージテーブルに乗るように伝えた。

そして私は、別室で書類を書こうと、その部屋から一時的に退出し、
しばらくして、再び戻ってくると、彼は今だに、彼の服装のままで、
そこに立っているのだった。

「私がスーツを着たままでも、あなたのワークをしてもらえますか?」
彼が尋ねた。
私は、かつて誰にも、スーツ姿のまま、マッサージを施したことはなかった。
「ええと・・・」と私は言い「やってみましょう。」と答えた。

私は彼に、スーツにシワが付くかもしれませんと伝えておいたが、
彼は気にしないと言う。

それで、彼の身体に触れ始めると、それはまるで岩のように固く、
身体の芯へ向かうほど、硬直しているのだった。

突然、彼が、「ああ、分かりました。」と言って、立ち上がった。
彼は、ジャケットと、ベストを脱いで、再び横になった。

それから数分ののちに、再び彼は言った。
「ああ、はい、分かりました。」
そして、私を見て、シャツを脱ぎ、うつぶせになった。

そこには、私をとても不可思議な気持ちにさせるものがあった。
かつて、私はこのようなものを見たことがなかった。

彼の背中は、あらゆる種類の傷で覆われていた。
ある部分の肌は、赤く、不思議にねじれ、
ある他の部分は、クモの巣のようだった。
そして、その他の多くの部分は、小さい、丸い穴が
たくさん開いているのだった。

しばし、私はどうしたらいいのか、分からなかった。
そして、私は、私の両手をそっと優しく、彼の皮膚の上に置いた。
彼は泣き出した。

「これは私の最大の恥です!」彼は、むせび泣いた。
「いいえ。」私は言った。「あなたは、何も恥じることなんてありません。」

彼は、私を見ようとして、身体を仰向けに返した。
「あなたには、分からない。」彼は言った。
「わたしは、”行方不明”のうちの一人です。」

彼のその言葉は、私の全身に鳥肌を立たせた。

アルゼンチンで、1976年、軍事独裁政権が樹立し、ビデラ将軍の元、
国会を閉鎖し、反体制派、およびゲリラと見なされた人々が、
非合法な手段で、徹底的に弾圧された。
3万人もの市民が、秘密警察に拉致され、拷問され、殺されて、
「行方不明」となったのだった。

「私と二人の友達が、囚われました。
警察が、私たちに一斉に、同じ部屋で拷問しました。
彼らは、私たちが何も知らないことについて、聞いてきました。
私は、もう死ぬのだろうと思っていました。」

彼が話すにつれ、私の身体はこわばって、呼吸が浅くなってきた。
私は意識して、リラックスしなけなければならなかった。
しかし、彼の言葉は、彼が経験したすべての瞬間について、語っていた。

「最後には、」彼が言った。「私はあまりにも恐ろしくなり、
どんなことでも、
拷問を止めさせることが出来るなら、どんなことでもいいから、
話すようになったのです。

私は話しました。
私は生きるために、話したのです。
でも、私の二人の友達は、話しませんでした。
そして、そのうちの一人は、私の目の前で、死んでいきました。

私の拷問者は、私たちの名前を要求していました。
私は、私の二人の友達の名前を告げました。
『彼らが、私の唯一の友達だ!』私は泣きました。

突然、彼らは、黒い袋を私の頭にかぶせました。
そして、私の両手に手錠をかけました。
私は車に乗せられ、遠くへと運ばれました。

私は祈りました。私は死ぬかもしれないと考えながら。
ーーーでも、そうではなく、
何もない道ばたに、ゴミのように捨てられました。」

彼の話しを聞きながら、私は、すべての詳細を頭に描くことが出来た。
そして、彼の説明する、すべての感情を感じたのだった。

彼は静止して、深く考えに沈み込んだ。やっと、彼が、口を開く。

「私は、私のもう一人の友達が、今だに牢獄の中で生きているというのを聞きました。
私は、私の生きているうちに、再び、友に会える日が来るのかどうかも、分かりません。」

私は、彼が正直に語ってくれたことに感謝して、勇気づけた。
私たちは、週2回、6週間の間、ワークをした。
そして、彼はアルゼンチンへと戻っていった。

ワークの最終日、彼は、私に礼を言ったが、私の気持ちとしては、
私の方こそ、唯一の、とうてい金銭に見積もることの出来ないギフトを
与えられた者だという気持ちが拭えなかった。

私は、彼のことを決して忘れないだろう。

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